津島でら寺巡り

津島でら寺巡りと津島のお寺のレポートを発信していきます

如意輪様と双子地蔵/龍渕寺御住職インタビュー

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令和元年11月某日、大珠山 龍渕寺(津島市瑞穂町1−8)を訪ねた。

ちょうど1年前の平成30年11月に新しく普請された朝日町車の山車蔵と隣あう龍渕寺は、本町筋や天王通りとちょっと距離があるため、津島でら寺巡りでも最初に参拝する方が多い。

 

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「私は元々愛西市にある小寺の住職で、8年前からこちらも預からせていただいています。当寺は常楽寺(津島市天王通り5丁目10)の二世の方が開かれまして、500年ほどの歴史があるんですが、私も前のことは存じ上げないことも多いもので。『賤ヶ岳の七本槍』の一人である平野長泰(ひらの ながやす)公の菩提寺で、今日も長泰公に所縁のある奈良県の方がお参りに来てくださいました」

 

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服部光志住職は、大きな体躯に似合わず、柔和な笑顔を浮かべる優しい和尚様だ。
そんな優しい御住職の描く穏やかで愛くるしい御影仏(おみえぶつ)は大人気で、Twitterなどで指定される御朱印を直書きする日には、大勢の愛好家が列を作る。

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Q. 御住職は、以前から絵を描かれていたんですか?

服部住職 曹洞宗では「血脈」(けちみゃく)というものを棺の中に入れさせていただいて、亡くなった故人に御釈迦様の弟子として旅立っていただくという教えがあります。私は絵が好きで昔から描いておったんですが、御檀家様に不幸がありますと、如意輪(観世音菩薩)様の絵を血脈と一緒に棺に入れさせていただいておりました。津島霊場会が発足した2017年に御朱印の話が出まして、御本尊ですし如意輪様を御朱印として描かせていただくことにしたんです。

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服部住職 如意輪様は、三十三観音様の一つです。「一面六臂」と言いまして、顔はお一つなんですけど腕が六本あるんですね。右から、第1手は頬に当てて思惟(しゆい)の相で微笑まれています。第2手は、宝珠を胸に抱えています。第3手は、念珠を持って下に垂らされています。左の方はと言いますと、第1手は光輪を掲げています。第2手は、蓮の花お持ちです。第3手は、どっかりと地に着けています。

Q. 御本尊を拝観しても、どちらかというと女性のようですね。

服部住職 そうですね。観音様に性別はないんですけど、慈悲の仏様ですので、女性らしい御姿で描かさせていただいております。

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Q. 御住職の描かれる御朱印には、如意輪観音様だけでなく、御地蔵様もありますよね?

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服部住職 御地蔵様は、お祀りしているお寺様も多いですからね。お寺だけでなく道路にも、亡くなられた方の菩提を弔うために、色々な所に建立されています。仏教における六道(天道、人間、餓鬼、畜生、修羅、地獄)を巡る助けが、六道地蔵なんです。閻魔大王は、御地蔵様の化身(かしん)とも言われます。うちの寺は六体ありませんが、三体の御地蔵様がいらっしゃいます。御朱印に描かせていただくのは二体なんですが、これは私と副住職なんです。双子なもんですから(笑)。

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服部住職 この御地蔵様がご縁で、千葉県南房総市にあります小松寺さんという真言宗の御寺と、今年の7月コラボ御朱印をやらせていただきました。向こう様は天女様を、こちらは如意輪様を描いて、その脇に双子地蔵様を一体ずつ描くことになりました。

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服部住職 群馬県高崎市にある於菊稲荷神社さんが本殿の社殿を建て直された時に、畳半帖くらいの天井絵を描いてもらえないかと依頼していただいたことがありました。当寺の本堂には、その時のご縁で全国の御寺や神社さんから頂いた色紙を飾らせていただいています。

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服部住職 私の絵は、来ていただいた方に楽しんでいただければと思って、好きが高じて色々な絵を描かせていただいています。新しいものがどんどん増えていくんですが、こちらの御影仏は一番古いですかね。三体同じような如意輪様ですけど、御顔は全部違います。目が中々難しいんですよ。

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服部住職 古いと言えば、こちらの般若心経の絵も古いです。御顔は一枚一枚違う表情で描かせていただいたつもりです。うちは摩尼車や滑車で回す念珠もありませんし、山門もありませんが、本堂をくぐっていただくと般若心経の御利益に預かっていただけるように、入り口に貼ってあるんです。

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服部住職 前はこんな御地蔵様も描きました。やはり双子ですが(笑)。御朱印で墨の濃淡を出すのは難しいと思ったので、今のような双子地蔵になりました。

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服部住職 一月の「津島でら寺巡り」の御朱印は、まだ思案中です。お正月ですから、おめでたい感じの縁起ものを……ちょっと可愛い系の御朱印を考えております。

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令和二年の一月は、令和初の新年となる。

「津島でら寺巡り」は令和二年一月五日の開催なので、令和の初詣は是非とも津島市で締めくくりを。

もちろん龍渕寺様も参加される、恒例「寄せ書き御朱印」にもご期待あれ。