津島でら寺巡り

津島でら寺巡りと津島のお寺のレポートを発信していきます

吉祥寺の九万九千日参り

去る8月9日、中野町の吉祥寺にて九万九千日参りが行われた。

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「ようこそお参りくださいました」
玄関から座敷に通していただき、灯明料を納める。

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ろうそくに願い事を書き入れたら観音様から火をいただき、竹筒に奉納。

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時間が早いからか、連日の猛暑のせいか、まだ人は少ない。吉祥寺様のお話をゆっくりうかがうことができた。

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「当山は津島神社の東の厄除けとして建てられました、お檀家がいないお寺です。
東の守り神が青い龍、『青龍』なので『青龍山』という山号がついております。
『青龍山 吉祥寺』といいます。

津島には同じ真言宗でもう1件『吉祥寺』というお寺が神守のほうにあります。
他には津島神社の中の『宝寿院』さん、天王通の『観音寺』さんの4件です。

九万九千日参りは長崎の原爆投下の日と同じ8月9日なのですが、昔は旧暦で行っていたのではないかと思います。
三の倍数が無限大を示すということで三十三、無限大にお救いくださる仏様、三十三観音が祀られています。(※本堂左奥)

昔、津島神社伊勢神宮にお参りに行くのが一種のステータスで、大変にぎわっていたと。
それで、その周りには男性の遊ぶ場所がとても多かったらしいんですね。
そこで働く経済的に恵まれない女性たちが、九万九千日参りの日は明けてから、この参道にずらりと列が続いたということを聞いております。」

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「ここのお寺を引き継ぐ際に、やっぱりそれは復活させなくてはいけないと思いまして、この暑い時期ですが始めました。
人間の生は一過性のものといいますか、70年…100年生きられる方は少ないと思います。だからこそ、繋いでいかなくてはいけないものがあると思います。」

ひとしきりお話を伺ったところで般若心経を唱える。

その後、「明日葉DOJYO」に移動し、お手製のお斎(とき)をいただく。

庭の薬草で淹れたお茶が夏の疲れた身体にしみる。

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「当山は2009年に大改修を行いました。老朽化が激しく、5件くらい日本の大工さんとか建築士さんに聞いたのですが、もうつぶさなきゃダメと言われたんですね。もう無理だって。
ですけど、経済的に恵まれない女性たちの心の拠り所だった、その方たちがお参りされた仏様のいる場所だった、そういう経緯のあるお寺ですので、どうしても(つぶすのは)嫌だったんですね。

たまたま『ビフォーアフター』という番組を見ていたら『ジェフリー・ムーサス』という建築家が出ていたんです。
この人なら分かってくれるんじゃないかと思い、テレビ朝日に電話して連絡を取ってもらい、見ないとわからないということで一度見に来ていただき(修復の依頼を)引き受けていただけました。

京都から職人を連れてきて、まず本堂など古いほうのの修復と、道場は現代建築で新しく建ててもらいました。
工期は1年半くらいだったと思います。アメリカ人の建築家なんですけれども、やっぱり、国境を越えて分かってくれる人はいるんだな、と思いました。」

 

日暮れとともに暑さも少し和らぎ、徐々にお参りの方が入ってくる。

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緑あふれる境内は蝉の声があふれていた。
迫る夕闇とともにろうそくの灯りが際立ってくる。

 


「九万九千日参り」は毎年8月9日の夕刻より執り行われる。
祈りを込めて、観音様の救いの灯をいただきに来年も訪れたいと思う。

青龍山 吉祥寺

津島市中野町7

 http://www.kissyouji.jp/index.html